(1)溶融温度と分解温度および架橋温度との差が大きいこと。粉体塗料は塗布後、加熱溶融させて塗膜を形成させるので、使用している樹脂の融点以上に加熱する必要があります。この場合樹脂の分解温度や架橋温度が溶融温度に接近していると平滑な塗面は得られません。
(2)溶融温度は低い方が良いです。塗装された粉体塗料は、粒子間に空気が大量に存在するため、平滑な塗面を得るには溶融粘度が低くて、流動しやすくなければなりません。
(3)貯蔵安定性に優れていること。平滑な塗面を得るためには、融点はなるべく低い方が好ましいですが、粉体塗料の保管中に粒子同士が凝集を起こして、ブロッキング現象を生じます。また熱硬化性樹脂の場合、保管中に架橋剤との反応によってもブロッキングを生じます。したがって、粉体の融点、架橋剤の種類などを十分に検討する必要があります。
(4)粉体塗料を静電塗装する場合には、粉体の電気抵抗値が適切でなければなりません。この電気抵抗値が低すぎると帯電した電荷は被塗物から放出するため粉体粒子の脱落が起こりやすくなります。また、高すぎると帯電した電荷を放出しにくいので、塗膜面に電荷の集積ができるため、厚塗りが不可能になります。一般に電気抵抗値は10^10~10^13Ωcmくらいが適当とされています。