非水系ディスパーションの構成は次のような成分から成り立っています。
(1)分散媒は脂肪族炭化水素を主体とする有機溶剤。
(2)分散ポリマーは0.1~0.8ミクロンの粒径の分散状態にある。上記の分散媒には不溶の主体ポリマー。
(3)分散安定剤は主体ポリマー粒子の表面にあり、粒子の分散状態を安定化する安定剤ポリマー(立体的反発による安定化作用)。
(4) (1)~(3)のほかに、分散媒中に一部溶けている低極性ポリマー。これはNAD製造時に全てのポリマーが分散ポリマーとならずに、一部可溶化ポリマーとなったもので、この可溶化成分と分散ポリマー粒子との比をディスパーション化度と呼ぶ。
分散媒は、脂肪族炭化水素を主体とし、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットその他のパラフィン系、ナフテン系石油成分が使用されます。
分散ポリマーは、通常の条件でラジカル重合のできるアクリルポリマーなどビニル系ポリマーになります。分散媒に不溶のポリマーであり、比較的極性の高いポリマーを使用します。MMA、EA、AN、HEMAなどの重合体より成ります。
分散安定剤は分散媒に可溶な成分と、分散媒に不溶でポリマー成分には相溶するような成分との極性を持つ異なる2成分から成り立っています。
NADの技術は、ほとんどがこの構成成分中の分散安定剤の種類および分散ポリマー中の官能基の種類の相違によるものです。
アルキル化メラミン樹脂を分散安定剤として用いる方式はクックペイント社とフォード社の方式があり、分散ポリマーについてはクック社は水酸基含有アクリルを使用し、フォード社はダリシジル基含有アクリルエステルを使用しています。ICI社は分散安定剤としてポリー12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマー誘導体を使用しています。