非水系ディスパーション型塗料はNAD塗料とも称せられ、NADとはNon Aqueous Dispersionの略称で、水以外の有機溶剤(主として脂肪族炭化水素)の中に、約0.1~0.8ミクロンのポリマー粒子を分散させた分散液のことになります。このポリマー分散液と他の塗料構成成分を混合してできる塗料を非水系ディスパーション型塗料と読んでいます。この塗料は、低公害性、省資源および塗装作業性などの点で、従来の溶剤型塗料に比べて優れており、とくにNADは分散系ビヒクルに起因する造膜時の特殊な流動特性のためメタリックカラーの塗装作業性に優れ、仕上がり外観、耐久性、耐溶剤性が良好です。これらの理由から欧米では、フォードモーターズ社、GM社、クライスラー社などの自動車メーカーが自動車用上塗り塗料として1975年以来相次いでNAD塗料の採用に踏み切りました。
NAD塗料には熱可塑性と熱硬化性塗料とがありますが、自動車上塗り用塗料としては、従来溶剤型アクリル樹脂塗料の代替えという点から熱硬化性タイプ(アミノ樹脂による架橋タイプ)が大半です。国内の塗料メーカーも1972年以来活発に研究開発が進められており、国内自動車メーカーも1973年以来採用が始まったと言われています。