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塗装技術の門

塗装・塗料をはじめとした内容を掲載したブログです。工業に携わる皆さまの調べものにお役に立ちたいと思っています。

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JISハンドブック 30 塗料 (30;2020)


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【有害大気物質特論】ガス吸収装置



 ガス吸収は、ガス中の特定成分を水、水溶液などの液体に吸収させて分離する操作で、有害物質、特定物質などの処理に用いられます。
 ガスの水への溶解は、水に対して比較的溶けにくいガス(例:酸素、窒素、一酸化炭素)の場合、よく知られたヘンリーの法則が成立します。
 P=HC
 P:溶解ガスの分圧(Pa)
 C:溶解ガスの液中の濃度(mol/㎥)
 H:ヘンリー定数(Pa・㎥/mol)
 比較的溶けやすいガス(例:アンモニア、塩化水素)では、ヘンリーの法則は成立しません。しかし、これらのガスでも分圧が低い場合には近似的にヘンリーの法則に従うとみることができます。逆に、難溶性ガスでも、全圧および分圧が高い場合には従わなくなります。ヘンリー定数は、一般には温度が高いほど大きくなります。
 吸収液とガスとの間に化学反応を伴う場合の吸収を化学吸収といい、化学反応を伴わない吸収を物理吸収と呼びます。化学反応が不可逆であるとき、例えばフッ化水素の水酸化ナトリウム水溶液への吸収では、ガスの平衡分圧はゼロとしてよいのですが、可逆的であるとき、例えば二酸化硫黄(SO2)の亜硫酸ナトリウム水溶液への吸収では、液組成や温度などで決まる一定の分圧を示します。
 ガス吸収の速度を考える場合、二重境膜説は有力な学説であります。気相と液相の接する液面に沿ってガス側にも液側にも乱れのない薄い境膜が形成され、この境膜内での被吸収物質の拡散速度は遅いので物質移動の抵抗となります。この境膜内の拡散の推進力はガス本体と界面の被吸着物質の分圧の差、および界面と液本体の溶質の濃度差であります。溶解度の大きいガスの場合はガス側抵抗が支配的となるので液分散型の吸収装置が、溶解度の小さいガスの場合は液側抵抗が支配的となるのでガス分散型の吸収装置が用いられます。

表.ガス吸収装置の特徴
特徴
長所①処理コストが低廉である。
②集じん、ガスの冷却などほかの操作を兼ねることができる。
短所①100%近い除去率を得ることは難しい。
②付帯的な排水処理施設が必要である。
③ガスの増湿を伴うので、排煙の拡散が阻害される。
④汚染物質を溶解した吸収液が酸性となる場合は腐食性が問題と
 なる。

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【ばいじん・粉じん特論】送風機



 送風機は羽根車の回転運動により気体を圧送し、その圧力比(吐出絶対全圧または制圧と吸い込み絶対全圧または静圧の比)または吐出圧力によりファンとブロワーおよびコンプレッサーに分かれます。

 ファン:圧力比 1.1倍未満 または吐出圧力 9.8kPa未満
 ブロワー:圧力比 1.1~2倍 または吐出圧力 9.8kPa以上約 100kPa未満
 コンプレッサー:圧力比 2倍以上

 集じん装置に付帯する送風機は、通常、圧力損失が少ないため、多翼ファン、ラジアルファン、後ろ向きファンなどの遠心ファンなどが使用されます。これらのファンは、集じん装置ではダストによる摩耗を少なくするため通常吸引ファンとして使用されます。
 多翼ファンは遠心ファンの中で効率は低いですが、小型かつ安価で圧力係数が高く、低圧で風量の大きい用途に適しています。ガス流量は20,000㎥/min以下で、圧力は、空調用の場合で0.6kPa以下、工業用では通常3kPa、最高で7.5kPaです。
 ラジアルファンはプレートファンまたは径向きファンとも呼ばれ、圧力係数が多翼ファンに次いで高く、効率は後ろ向きファンよりやや低い程度であり、小型/軽量で、集じん装置のように摩耗が激しい場合の使用に適しています。ガス流量は大体2,000~21,000㎥/minで、圧力は2~20kPaであります。集じん装置で最も多く採用されているのがこのラジアルファンになります。
 ターボファンは遠心ファンの中で最も効率がよく、ガス量の広範囲な使用に適しています。しかし、圧力係数はラジアルファンよりさらに低くなります。ガス流量は40,000㎥/min以下で、圧力は大体15kPa以下で用いられます。
 送風機の排風量を変えるには、回転数の変更、吐出弁または吸引弁を絞る、吸引案内羽根の角度調節などによる方法がありますが、可変速電動機を用いて回転数の変更により風量を制御する方法が最も多く採用されています。
 回転数変更による流量制御の場合、「風量は回転数比に比例」「風圧は回転数比の2乗に比例」「動力は回転数の3乗に比例」します。


表.送風機の効率と余裕率
型式効率余裕率
多翼式0.40~0.771.15~1.25
プレート形0.60~0.771.15~1.25
ターボ形0.65~0.801.10~1.50

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【ばいじん・粉じん特論】フード




 発生源からのばい煙または汚染空気の処理を経済的に行うには、まず発生ガスをできるだけ高濃度の状態で捕捉し、ダストの集じん、有害ガスの除去を行う必要があります。集煙の方法は次の二つの方法があります。

(1)直接吸引法
 密閉形のばい煙発生施設では、ばい煙は炉体から直接吸引され、煙道またはダクトを経て煙突から排出されます。炉体、ダクト(煙道)、ダクトエキスパンジョン、その他から空気の漏れ込みがあると、処理ガス量が増加して集じん装置は大きくなり不経済になりますが、直接吸引法では発生ガス量の2倍を超えることは極めてまれです。

(2)間接吸引法
 操業上直接吸引のできない開放形の発生施設では、ばい煙または汚染空気をフードによって集煙して処理することになります。したがって、フードによる発生ダストやガスの捕捉が不十分な場合、作業環境を悪くすることになります。
 一方、余分な空気の吸引量が多くなると大きな集じん装置が必要で、開放炉での間接吸引では、処理ガス量は発生ガス量の10倍以上となっています。
 一般に直接吸引法が望ましいですが、発生源の形状や作業条件との関係で、多くの場合にフードを用いた間接吸引法が採用されています。フードは、形状、設置場所、吸引の方向、ダストの受け方などによって多種多様でありますが、囲い形、ブース形、外付け形、レシーバー形に大別できます。
 囲い形フードは、ばいじんや粉じんの発生源を全面的に覆ったもので、発生ガスの漏えいや外気の吸い込みが少なく、ばい煙などは最も高濃度の状態で集煙することができます。
 ブース形フードは、作業上必要な一面を開口にしています。この開口部から逸出するダストは開口部の吸い込み気流によって抑制されることになります。処理ガス量は、開口部における吸い込み空気量だけ囲い形よりも多くなります。
 外付け形フードは、構造上や作業上、発生源を全く覆うことができない場合に採用され、側方形や下方形などがあります。フードが発生源に対して独立して設けられ、発生ガスに比較して余分な空気を多量に吸い込むことになります。
 レシーバー形フードは、金属溶解炉などでは熱の上昇気流を、グラインダーなどではダストの慣性力の方向に沿って吸い込むようになっています。

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