ハイドロゾルはデュポン社から発表された新しい水性分散体で、この特長は結合剤が微粒子状に分散しているところにあります。従来のエマルションの粒子は0.15~0.2ミクロンであるのに対し、ハイドロゾルは最も大きいものでも0.05ミクロンで全粒子の95%は0.01~0.1ミクロンになります。その結果ハイドロゾル型塗料の仕上がり塗膜は、従来のアクリルエマルション塗料では得られない光沢、硬度を持っています。
エマルションは粒子の分散を安定させるため、かなり多量の親水性、または水溶性分散剤が配合されますが、ハイドロゾルは、機械的安定性に優れているため分散剤の配合は少量で済むので、塗膜は水と接触しても軟化、膨潤するということがありません。粘度も同一固形分の場合、溶剤型塗料に比較すると低いため、固形分を多くしても、レベリングがよく、スプレー塗装、浸漬塗装、ロール塗装も容易にできます。塗膜の耐光性については屋外曝露6か年経過においても良好な成績を示していると報告されています。この塗料は常乾型よりも、水溶性メラミン樹脂等のアミノ化合物と架橋させて熱硬化型塗料への利用が検討される方向にあり、架橋することによって塗膜の耐溶剤性も改善されます。
アクリルヒドロゾル塗料の用途は、金属、木材、プラスチックなどの各種素材の表面仕上げ、シームレス床張り、紙のコーティングなどの一般分野に使用されます。特にポリスチレンのプラスチック製品の塗装に最適です。