窯業系サイディングとは、主原料としてセメント・ケイ酸質原料、繊維質原料及び混和剤などを用いて成型した外装材のことで、1968年に外壁材市場に登場し、1980年代から急速に普及した建材になります。市場に参入した当初は、現場で塗装するも製品のみでテクスチャーについて単純な模様に目地切削を組み合わせた程度のものでしたが、市場拡大に合わせ多種多様なテクスチャーのものが開発されてきました。
窯業系サイディングの成型方式は、原材料と生産条件に左右されるため、製造メーカー独自の方式となっています。成型方法は抄造方式と押出方式に大別され、さらに乾式や湿式及びプレス成型などの製法に分類されます。各々の製法の特長は、抄造方式は押出方式に比べ生産性に優れること、押出方式は板厚の熱い厚物成型が容易なことと中空形状が可能なため、軽量化が図りやすいことです。なお採用しているメーカーが多い成型方式は、抄造方式の方です。
当初は縦張りの製品が主流でしたが、塗装板の普及とともに横張りへと移り、住宅スタイルの変化に合わせた木目、タイル、レンガ、石などの素材に似せたテクスチャーと、窯業系サイディングオリジナルのテクスチャーの開発が進められるようになりました。
成型技術の開発による厚物化や深柄化により、本物に近いテクスチャーが開発され、さらに塗装仕上げとのマッチングにより一層高意匠化が図られるようになりました。メーカー各社は、商品の差別化や高意匠化を目指し深柄成型技術の開発を推進しています。