初期の窯業系サイディングは、現場塗装用の製品が大多数を占めていました。塗装製品はモルタルを意識したリシン調のモノトーン仕上げであり、塗装方法は比較的単純なスプレーやフローコーター及びロールコーターが採用されていました。当時のテクスチャーは、フラット近似柄で模様深さは2㎜以内でした。
その後、メーカー各社は意匠向上を目的に塗装設備を導入し製品開発に注力した結果、塗装板の出荷量が徐々に現場塗装用の製品を上回るようになりました。
またテクスチャーも、その開発に合わせるようスタッコ、横目地、タイル、レンガ、木目、よろい調等、次から次に開発され、塗装仕上げはテクスチャーの凹凸に同調した意匠としたことや、深柄化を生かした陰影感のあるツートン塗装品が上市されたこと、色も従来主流の淡彩色から濃彩色へ拡大し、多種多様な仕上がり外観の製品が流通するようになりました。さらに、メーカー各社の新塗装技術の開発が進み、スパッタ塗装、カラービーズ入りクリヤー塗装、印刷塗装等の技術が確立され、自然界に存在するあらゆる素材を表現することが可能になりました。最近では、高意匠化を追求し、インクジェットプリンター印刷を採用した精密な意匠の製品や、その技術を活用しキャラクターを印刷する製品まで開発され、意匠性は飛躍的な進歩を遂げました。
一方では、土壁を再現したようなモノトーン塗装によるシンプルな意匠も見直されてきたことや、基材を着色し、素材の持ち味を表現した製品も開発されました。