▽粉体電着塗料
粉体電着塗料とは、水希釈性カチオン樹脂の水溶液中に、20ミクロン以下に調整した合成樹脂粉体を分散させて得られた粉体含有カチオン型電着塗料で、電着に当たっては、被塗物を陰極とし、複数個の陽極との間に通電することにより被塗物に塗着させるものになります。水希釈性カチオン樹脂の水溶液は、エポキシ樹脂またはエポキシ変性樹脂中のエポキシ基に各種の有機アミノ化合物(第2級モノアミンが最も好ましい)を付加反応させ、これに酸性化合物を添加して、水溶液とします。一方粉体樹脂は、焼き付け乾燥工程で加熱溶融時にバインダー樹脂と部分的にまたは完全に相溶し、均一な塗膜成分となるもので、粉体樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂粉体などがあります。合成樹脂粉体の粒子としては5~10ミクロンの粒径が好ましいです。
▽粉体電着
水性媒体中でバインダー樹脂:粉体樹脂=100:100~1000の固形分比で、分散系の固形分としては10~20%とし、pH値4~6で、液温20~30℃で50~400Vの電圧を印加して電着を行うとよいです。この際陽極としてはステンレスまたはカーボンなどの非腐食性電極とします。
▽粉体電着塗料の特徴
粉体電着塗料の特徴を示すと次の通りです。
(1)短時間で厚膜が得られ、塗膜性能は粉体そのものに近く、高性能な塗膜となります。
(2)粉体塗装の欠点である粉塵処理の問題がなく、公害、作業衛生面で優れています。
(3)粉体塗料と電着塗料の良さを兼ね備えています。
(4)厚膜が得られる反面、電着後のウエット塗膜は多孔質であり、25~35%の水分を含むため水分蒸発時にトラブルが発生してしまいます。
(5)水希釈性バインダーと粉体樹脂粒子の共存性と電着共進性などの特性が重要な因子となります。